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着物と帯の専門店
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しな布

(新潟県)

   まだ布  / 科布 / 信濃布
 
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しな布はまだ布とも呼ばれ(※しなの漢字は木辺に品物の品ですが当て字のようで出てきませんでした)

 藤布や麻布などと同様に、古くから山着や労働着などの庶民の衣料として作られてきました。

 袋などにも作られて穀物や魚などを入れるのに用いられていたものです。

 しかし、原始的な手仕事の為、昔は各地で多く生産されたしな布も、今では羽越国境、新潟県の村上市や、

 山形県の山里にわずかに作られているだけとなっています。
 
 昭和42年4月、この原始的な紡織習俗が記録措置を要する無形民族資料として国から選択されました。
 
 しな布は(科布=しなぬの)とも書き、初夏のころ内地・北海道では一般に「しなの木」といい、

 特に東北地方では 「まだ」 「まんだ」 等と呼ばれる木の皮を剥いで、灰汁で煮て薄く裂き、

 冬の農閉期に糸に紡ぎ手織りにかけて織ったもので、

 アイヌのアッツシと同系の織物です。山形県の鶴岡方面でも盛んに作られていました。

 ※17年9月22日に経済産業大臣指定の伝統的工芸品に「羽越しな布」の名で指定されました。



 
 

工程

 内 容

科剥ぎ


 
シナノキの樹皮に裂け目を入れ、そこに手近な木の枝を削ったものを差し入れ、梢に向けて剥がす。

 その場で表面の堅い樹皮を剥がしていく。畳み込むように内皮を取り出す。

 この内皮がしな布の原料となる。

 持ち帰った内皮は丸めて陰干ししておく。

灰汁煮き


 1日水に浸けて柔らかくした科皮をドラム缶に入る大きさに束ねる。

 篩(ふるい)にかけた木灰をまぶしつける。
 
 灰をまぶした科皮をドラム缶に入れて木灰汁を注ぎ、南京袋を被せ、

 重石をして一昼夜灰汁煮きをする。

発酵


 柔らかく煮た科皮は熱いうちに揉み解し、1枚ずつ剥がす。

 その後、清流に浸けて灰を洗い流し、

 さらに割り箸をコキバシにしてしごきながら汚れや樹脂を落とす。
 
 木灰汁で煮た科皮は黒ずんでいるので、糠水に2,3日浸けて発酵させる事で漂白する。
        
 漂白した皮を川で洗い、陰干ししておく。これまでが夏の作業です。

科積み
(しなうみ)


 乾燥した科皮を湯に浸けて柔らかくし、1cm幅の裂け目を入れる。

 裂け目に添って5本の指を使い、細く裂いていく。 
 
 さらに、2mm幅位に細かく裂く。

 裂き終わったら繊維の先に裂け目を入れ、次の繊維の根元を挟んで撚りをかけ、繋ぐ。

へそ巻


 積んだ繊維の端を左手の親指に巻きつけながら、18cm位の高さのへそ巻と呼ぶ糸玉を作る。

 へそ巻のまま湯に浸け、全体を湿らせ、糸車にかけて撚りかけをする。

 単純な作業なので、女性たちは一つ家に寄り集まって作業をしつつ、

 語らいながら冬の夜長を過ごす。

整経


 整経とは、経糸を機にかける前に行う準備工程をいい、

 製織に必要な長さの経糸数を揃えていく作業。

枠取り


 撚りかけの済んだ糸を木枠に巻き直す。

織り


 織りは経糸も緯糸も濡らした状態で行う。雪解けの頃までには一機(20丈)が織り上がる。

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