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本場黄八丈東京都指定無形文化財
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伊豆七島の最南端を占める八丈島は、かつて鳥も通わぬ島とうたわれた南海の孤島とされ、 流人の島という悲しい歴史を持っていました。 この八丈という名は、島の名称を冠したのではなく、 流人であった近藤富蔵が、 織物の長さ(一疋の長さ)が八丈あるところから八丈絹という名をつけたといわれます。 その昔“沖島”と呼ばれていた島名は、近世になって、 島の特産品八丈絹の名をとって八丈島になりました。 一般に黄八丈と呼ばれているものは黄色が主流で、樺色が主流のものは鳶八丈、 黒が主流のものは黒八丈と呼ばれます。 それぞれ純植物染料によって染められ、色の華やかさは内地のどの織物にも見られない、 なごやかな美しさを持っています。 黄八丈は着始めて二〜三年経って本当の良さがわかると言われていますが、 南の島の恵まれた自然と、多くの手数、日数をかけて染め上げられる独特の色合いを生命として、 丹念に作られているものです。 黄八丈の特色は染にあります。 黄は刈安、茶(鳶)はマダミ、黒は椎で、いずれも島に自生する植物を染料にしています。 三色の染色法は無形文化財に指定されており、その技術保持者は現在五人います。 <染料と染色法> 黄⇒秋口に穂先の出かけた頃刈った刈安を干し上げ、ふしと呼ばれるその煎汁を使い、 約十五〜二十回ふしづけをします。 次に椿と榊の葉で焼き灰を作り、水を加えた灰汁の上澄み液を媒染液に使用します。 色の濃淡は灰汁を口に含んで味で決めていきますが、 一番よい加減は渋みがかった甘味があるといいます。 灰汁の上澄み液の中で糸を一かせずつ漬け、手早く軽く揉むようになじませ、 一回だけ あくずけ をします。 茶⇒ マダミの樹木の生皮を煮沸して煮汁を作り、糸がひたる程度熱い煎汁をかけます。 この ふしづけ を約十五回ほど繰り返し、囲炉裏の灰を用いて数回 あくづけ をします。 黒⇒ 椎の樹皮のよく乾燥させたものをよく使い、 黒ぶし と呼ばれるその煮出し汁で ふしづけ を繰り返します。 それを鉄分の多い泥田で数回の 沼づけ をすると、青みがかった黒に染め上がります。 ふしづけ、沼づけの回数を減らすと濃いグレーに仕上がります。 ここ近年の生産量は着尺地が700反・帯地が600反で横ばい状態だそうです。 又、地色の基本は名前の通り黄が主ではありますが、黒地・グレー地のものが人気を集めています。 |
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参考写真:左から着尺平織・着尺まるまなこ織・八寸帯
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