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結城紬
重要無形文化財(茨城県)伝統的工芸品 |
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「ゆうき」と1オクターブ低い発音で聞くと、すぐに優雅な紬の着物を連想するほど結城の名は、 地名より織物の名で一般に通用しています。 それは単に歴史の長さばかりではなく、結城紬には人間の血が通い、そのあたたかさを肌に感じさせ、 心の奥に結城の風味を染み透らせてくれるからです。 栃木県帝釈山脈に源を発する鬼怒川、 その清流のほぼ下流に位置するところが結城紬の産地、茨城県結城市と栃木県小山市です。 関東平野の真只中で、冬は日光おろしの吹きすさぶ中で、 糸を紡ぎ、絣をつくり、そして織り、結城紬が生み出されているのです。 市内にあるのは染屋、糸屋、と産地問屋(買継商)だけで、織りは郊外に散在する農家の副業です。 農閉期の節くれだった手先から、あのしなやかな紬糸が作り出されるのですが千数百年の歴史を積み重ね、 長い日時をかけていく農家の人たちの心・・・・・ そこには生活の喜びも悲しみも共に織り込まれています。 土くさい民芸織物でありながら、人と人とのつながり、 人の血のあたたかさをにじみ出している結城紬は、染色の堅牢さ、 布地の丈夫さに高い人気を集めています。 また、渋さ、重厚味、無造作に着られる贅沢さなど、結城紬に寄せる形容詞は限りがないようです。 それは、作り出す人間のはかりしれないほどの質実なこまやかさから生まれてくるものです。 結城紬は、真綿からとれる手紡ぎの糸を使い、藍や化学染料で染められます。 織には平織と縮織がありますが、千数百年もの昔から使われている「いざり機」で織られています。 平織は昭和31年、糸紡ぎ、絣括り、いざり機による機織りの三製法が重要無形文化財に指定されました。 平成17年6月以降、重要無形文化財より除外されています。 |
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<真綿かけ糸紡ぎ> 真綿には角と袋の二通りがあります。 角型真綿は二枚重ねて一枚の真綿にしますが、角・袋とも真綿一枚に約6個の繭を必要とします。 この真綿で糸を引き出し、「つくし」という台にからませて、その一端から指先の魔術で糸を引き出します。 あやすように指先を唾液でぬらしながら引き出しますが、糸紡ぎはこの唾液が命といわれ、 一般に40〜50歳の女性が一番よい糸が紡げるようです。 高齢の人は唾液が少なくなり、糸に張りがなくなるといわれています。 糸は「おぼけ」という小桶の中へ入れておきますが、 おぼけいっぱいになるには約80グラムでおよそ50枚の真綿がいります。 おぼけいっぱいを1ぼっちと呼びますが、紬一反織るのに必要な糸は7ぼっち。 一反分の糸量を紡ぐには一人で約35日もかかります。 ぼっちより糸を取り出し整経するのですが、手紡ぎ糸の為途中切れたりするそうです。 糸括りや機織中で切れてしまうのを防ぐ為に、ねじったり輪にして置いたりと「糸をいじめる」事により 前もって弱い部分には切れてもらい、残った強い糸を括り以降の工程へと回します。 |
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<絣作り> 絣括りは一般に男性の仕事です。 方眼紙に設計された図案を基礎に使用量の糸を決め、それに経緯別々に目印のための墨付けをし、 口にくわえた木綿糸で括っていきます。 何回となく繰り返すこの括り箇所には、一点の心のゆるみも許されません。 ゆるんだ箇所はできあがった時に完全な絣模様が構成できなくなるからです。 |
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<いざり機> 染めあがった糸は、いざり機で織られます。 いざり機は腰に腰当てをつけ、反物の一幅以上の杼を用いますが、 腰当ては経糸を張ったりゆるめたりを調節するもの、 普通の杼は緯糸を通すだけの用い、打ち込みは筬で行なわれますが、 いざり機では樫の木で作った重い大きな杼で力いっぱい打ち込むので、生地が厚くなるだけではなく、 真綿紬の軽やかさとあたたかさを生かした独特の感触と風合いが生まれてきます。 通常の高機は錘で経糸を引っ張りますが、座織では腰で引く為重労働です。 機織は女性の仕事ですので、 昔は妊婦さんでも織っていたようでお腹の子を気遣い打ち込みが甘くなってしまうそうです。 過酷だった現場が想像できます。 |
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結城紬は括りの工程が重要無形文化財の指定項目に入っており、
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こちらの写真は本場結城紬 高機の作業風景です。 高機と聞きますと、中には機械で織っているの?と思う方も居られるかもしれませんが ちゃんと手で織っています。 産地見学などへ行っても地機ばかりの展示場ですので、珍しいかもしれません。 自宅の居間や部屋の片隅で・・・熟練の織り子さんが織っています。 |
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